この記事の要点
- サイトリニューアルでAI検索から消える最も多い原因は、ページのURLが変わったにもかかわらず、古いURLから新しいURLへの転送が設定されていないことです。
- Google検索セントラルの「サイトを移転する方法」(2026年6月24日更新)は、サーバー側で恒久的な転送(301や308)を使い、その転送を一般的には1年以上維持することを推奨しています。
- Googleは、AIによる概要やAIモードに表示されるために特別なファイルや構造化データを新たに追加する必要はないと明記しています。求められているのは、クロールを妨げないことと、重要な内容をテキストで書くことです。
- robots.txt、llms.txt、サイトマップ、構造化データの中に書かれたURLは、ページ本体の移行とは別作業になるため見落とされやすく、公開前に一覧にしておく価値があるとサイトモは考えています。
サイトリニューアルでAI検索から消えるとは、どういう状態か
ここでいう「AI検索から消える」とは、ChatGPTやGoogleのAIによる概要などの生成AIが回答をつくるとき、自社サイトのページが情報源として参照されなくなった状態を指します。検索順位が下がることとは別の現象です。順位以前に、AIが参照できるページがそこに存在しない状態になっています。
実際に起きるのは、次の3つのどれかであることがほとんどです。
- 新しいサイトを公開したが、AI向けのクローラーが新しいサーバーにアクセスできず、内容を読み取れていない
- 古いURLがそのまま消え、AIが以前から知っていたページを開くとエラーになる
- 自社サイトは読まれているが、AIは古い情報のまま回答している
3つ目は少し性質が違います。生成AIは自社サイトだけでなく、業界の紹介サイトや過去の記事も情報源にします。自社サイトを新しくしても、外部に残った古い記述がすぐに消えるわけではありません。
なぜリニューアルでAIの回答から消えるのか
生成AIも、結局は通常のクロール(プログラムがサイトを巡回して内容を読み取ること)に依存しているためです。AI専用の特別な経路があるわけではありません。
Google検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」(2025年12月31日更新)は、AI機能に表示されるための追加要件はないとしたうえで、サイト運営者に対して、クロールがrobots.txtに加えてCDNやホスティングの設定でも許可されているかを確認すること、重要なコンテンツをテキスト形式で提示すること、構造化データをページに表示されるテキストと一致させることを挙げています。裏を返せば、リニューアルでこの3点のどれかが崩れると、AIから見えにくくなります。
もう一つの原因がURLの変更です。CMSを入れ替えると、ページのアドレスは高い確率で変わります。/company/about.htmlが/about/になる、といった具合です。古いアドレスに来た人とプログラムを新しいアドレスへ自動的に送る設定(リダイレクト)を入れておかないと、これまで積み上げた評価も、外部サイトから貼られていたリンクも、新しいページには引き継がれません。
リニューアル前に記録しておくこと
リニューアル前に必要なのは、今のサイトの状態を消える前に控えておくことです。公開したあとでは、古い設定を確認する手段がなくなります。制作会社に任せる場合でも、次の項目は自社側でも控えておくことをサイトモは勧めています。
| 控えておく対象 | 控えないと起きること |
|---|---|
| 現在の全ページのURL一覧 | どのページを新しいどのページに転送すべきかを判断できなくなる |
| robots.txtの中身 | AI向けクローラーの許可や拒否の設定が引き継がれず、意図と違う状態で公開される |
| サイトマップの場所 | 新しいURLをGoogleに知らせる手段が抜け落ちる |
| llms.txtなどの独自ファイル | ファイルごと消える、または古いURLを書いたまま残る |
| 構造化データの内容 | 会社情報やパンくずの記述が新サイトで作り直されず、AIが読み取れる手がかりが減る |
URL一覧は、Google Search Consoleに登録していれば、そこからページの一覧を書き出せます。登録していない場合は、この機会に登録しておくと移行後の確認も楽になります。
リニューアル公開時にやること
公開日にやるべき作業は、転送の設定、robots.txtの再確認、サイトマップの送信の3つが柱です。順番に実施します。
- 古いURLから、対応する新しいURLへ、サーバー側で恒久的な転送を設定する。Googleは301や308といった恒久的な転送を推奨しています。
- 転送先を一段で指定する。Googleは最終的な宛先へ直接転送することを推奨し、直接転送できない場合でも転送の連鎖を5個未満、理想的には3個以下に抑えるよう案内しています。
- 対応するページがない場合は、無理にトップページへまとめず、内容の近いページへ転送する。トップページへの一括転送は、利用者にとって行き止まりに近い体験になります。
- 新しいサーバーのrobots.txtを開き、公開前の作業中に使っていた「すべて拒否」の記述が残っていないかを確認する。
- 新しいサイトマップをGoogle Search Consoleに送信する。
- ドメイン自体を変更した場合は、Search Consoleのアドレス変更ツールで移転を届け出る。なお、httpからhttpsへの移行だけであればこのツールは使いません。
転送は短期間で外さないでください。Googleは、転送をできるだけ長く、一般的には1年以上保持することを求めています。この間に、古いURLを指している他サイトのリンクが読み直され、評価が新しいURLへ移ります。
サイトモがリニューアルで確認しているファイル
ページ本体ではなく、ページの外側にある設定ファイルが最も見落とされます。サイトモは自社サイトで、AIクローラーの許可を明示したrobots.txt、サイトの案内をまとめたllms.txtとllms-full.txt、記事や会社情報を機械が読める形にした構造化データを公開しており、これらはページを作り替えても自動では追随しません。
たとえばrobots.txtには、次のようにサイトマップの場所を書いた行があります。
User-agent: GPTBot
Allow: /
User-agent: OAI-SearchBot
Allow: /
Sitemap: https://site-more.com/sitemap-index.xml
ドメインを変えた場合、この最終行が古いドメインのまま残っていることがあります。ファイル自体は新サーバーにあり、見た目には何の問題もないため、気づきにくい箇所です。llms.txtも同じで、中に書いた各ページへのリンクが古いURLのままだと、AIに対して存在しないページの一覧を差し出すことになります。
更新日の扱いには注意しています。
サイトモは記事の更新日をGitのコミット日付から自動生成しています。リニューアルでファイルを一括で移し替えると、内容を直していないページまで更新日が新しくなります。日付だけが動くと、読み手にとってもAIにとっても、何が実際に変わったのかが分からなくなります。移行作業と内容の更新は分けて扱うほうがよい、とサイトモは考えています。
公開後、AI検索に反映されるまでどれくらいかかるのか
反映までの日数について、AI各社が一律の目安を公表しているわけではありません。そのため、何日で戻ると断定はできません。ただし、設定の反映と、ページの読み直しは別物である点は押さえておく価値があります。
OpenAIは公開資料の中で、robots.txtを更新してから同社のシステムに反映されるまでにおよそ24時間かかる場合があると記載しています。これはあくまで、許可や拒否の設定が伝わるまでの時間です。サイト全体が改めて巡回され、AIの回答に新しい内容が現れるまでの期間とは異なります。
公開直後に自社名で生成AIに質問して古い答えが返ってきても、それだけで失敗と判断する必要はありません。確認すべきは、AIの回答そのものより先に、新しいサイトが正しく読める状態かどうかです。Search Consoleでインデックスの登録状況を見る、古いURLを実際にブラウザで開いて新しいページに転送されるかを試す。この2つで、たいていの問題は見つかります。
リニューアルでよくある誤解と失敗
最も多い誤解は、「AI検索のために新しく何かを足さなければならない」という思い込みです。Googleは、AI機能で表示されるために新たなファイルやマークアップを作る必要はないと明記しています。リニューアルで優先すべきは、追加ではなく、これまで機能していたものを壊さないことです。
そのほか、実務でよく見かけるものを挙げます。
- 公開作業中の「すべて拒否」の設定を戻し忘れる。制作段階では検索に出ないよう塞ぐのが普通で、外し忘れが起きやすい箇所です。
- デザインを優先して、これまで文章で書かれていた内容を画像にしてしまう。AIは画像内の文字を前提にできません。
- ページ数を減らす整理の中で、AIから参照されていたページを予告なく削除する。どのページが参照されていたかは、事前に把握しておく必要があります。
- 制作会社に確認しても要領を得ないまま公開日を迎える。転送の設定を誰が行うのかは、契約前に文書で確認しておくことをサイトモは勧めています。
まとめ
サイトリニューアルでAI検索から消える原因の多くは、AI固有の難しい話ではなく、URLの引き継ぎと、クロールを妨げない状態の維持という基本的な部分にあります。Googleは、恒久的な転送を使い1年以上維持すること、クロールが許可されているかを確認すること、重要な内容をテキストで示すことを求めています。
これから作り替えを検討している場合は、まず現在のURL一覧とrobots.txtの中身を控えるところから始めてください。次に、転送設定を誰が担当するのかを制作会社と決めます。公開後は、古いURLが新しいページへ転送されるかを自分で開いて確かめる。この3つを押さえておけば、リニューアルをきっかけにAIの回答から自社が消える事態は、かなりの部分まで防げます。
よくある質問
リニューアルではURLを変えないほうがよいですか
変えずに済むなら、そのほうが安全です。URLが同じであれば、転送の設定も評価の引き継ぎも考える必要がありません。ただし、CMSの入れ替えやページ構成の見直しでURLが変わること自体は問題ではありません。変わる場合に転送を設定するかどうかが分かれ目です。
古いURLからの転送は、いつまで残せばよいですか
Googleは、転送をできるだけ長く、一般的には1年以上保持することを推奨しています。転送の設定はサーバーの負担になるものではないため、期限を決めずに残しておいて差し支えありません。
公開直後にChatGPTが古い会社情報を答えるのは、設定の失敗ですか
必ずしも失敗とは限りません。生成AIは自社サイト以外の情報源も参照するため、外部サイトに残った古い記述がそのまま使われることがあります。まず確認すべきは、新しいサイトが正しく読める状態か、古いURLが新しいページへ転送されるかどうかです。
ドメインを変えない部分的な作り替えでも、同じ作業が必要ですか
ページのURLが1つでも変わるなら必要です。ドメインが同じでも、URLが変われば古いアドレスは行き止まりになります。なお、ドメインを変えていない場合、Search Consoleのアドレス変更ツールは使いません。
