この記事の要点
- llms.txtとは、サイトの要点と主要ページの一覧をAIが読み取りやすい形にまとめ、サイトの入口に置くテキストファイルです。2024年9月にJeremy Howard氏が提唱しました。
- 2026年8月10日に仕様のv2が公開され、ページごとにAI向けのテキスト版を用意することと、その存在をAIに知らせる方法が盛り込まれました。
- Googleは2026年6月に公式ドキュメントで、llms.txtはGoogle検索の順位にもAI機能にも影響しないと明記しています。置いても損はしないが得もしない、というのが同社の説明です。
- Ahrefsが2026年5月に137,210ドメインを調べた結果では、llms.txtを公開しているサイトの97%が、その月に1件もアクセスを受けていませんでした。
- サイトモは自社サイトにllms.txtを設置していますが、引用が増えることを見込んだものではなく、AI側の対応が変わったときに備える低コストの準備という位置づけです。
llms.txtとは何のファイルか
llms.txtとは、サイト全体の要点と主要ページの一覧を、AIが短時間で読み取れる形にまとめたテキストファイルです。サイトの入口に置き、https://example.com/llms.txtのようなURLで公開します。
中身は、見出しと箇条書きだけで書かれた簡単な文章です。会社名、事業内容の要約、主要ページへのリンクと一言説明を並べます。特別なソフトは要りません。メモ帳で書けます。
なぜこういうファイルが提案されたのか。AIが一度に読み込める文章の量には上限があり、多くのサイトは全ページを丸ごと渡すには大きすぎます。そこで、要点だけを一か所にまとめて渡そう、という発想です。
すでにある似たファイルとの違いは、役割で整理すると分かりやすくなります。robots.txtは「サイトに入ってよいか」を伝えるファイルです。sitemap.xmlは「全ページの一覧」です。llms.txtはそのどちらでもなく、入ってきたAIに対して「まずここを読んでください」と案内する要約にあたります。
なお、全文をまとめたllms-full.txtを併せて置くサイトもありますが、こちらは仕様書に定義されたものではなく、実務のなかで広まった慣習です。
2026年8月に公開されたv2で何が変わったのか
2026年8月10日、提唱者のJeremy Howard氏がllms.txtの仕様v2を公開しました。2年間の普及状況から分かったことを踏まえた改訂だと説明されています。中小企業のサイトに関係する範囲では、次の点が押さえどころです。
- 必ず書かなければならないのは冒頭のサイト名だけで、あとは任意という最小構成が明示されました。
- ページごとに、装飾を省いたテキスト版を用意することが推奨されました。もとのページのURLの末尾に
.mdを付けたアドレスで公開する形です。 - そのテキスト版の存在を、ページ側からAIに知らせる書き方が加わりました。ファイルを置くだけでなく、見つけてもらう手立てまで含めた仕様になっています。
- 「Optional」という見出しの下に置いた項目は、AIが読み込める量に余裕がないときは飛ばしてよい、という扱いが明確になりました。優先度の低い情報はここにまとめます。
- サイトの入口だけでなく、
/docs/llms.txtのように特定のディレクトリの下に置くこともできます。
最小構成で書くと、次のような形になります。
# 株式会社サンプル
> 熊本市で住宅リフォームを手がける工務店です。水回りの改修と耐震補強を得意としています。
## 主要ページ
- [サービス紹介](https://example.com/service/): 対応できる工事の種類と施工エリア
- [料金](https://example.com/price/): 工事別の目安価格と見積もりの流れ
## Optional
- [会社概要](https://example.com/about/): 所在地、代表者、許可番号
AI各社はllms.txtを読んでいるのか
2026年8月時点で、主要な生成AIの提供各社が「llms.txtを読んで回答に使っている」と公式に表明した例は確認できません。むしろ、明確に否定している会社があります。
Googleは2026年6月、検索担当者向けの公式ドキュメントを更新し、llms.txtに関する説明を追加しました。Google検索に表示されるために新しい機械可読ファイルを作る必要はないこと、他のサービス向けにllms.txtを作って維持するのは構わないが、Google検索での表示や順位を損なうことも助けることもなく、Google検索はそれを無視すること、という内容です。
同じ2026年6月には、GoogleのJohn Mueller氏が「現時点では純粋に憶測にすぎない」「このファイルは何年も前から存在するのに、どのAIシステムも使っていない」と述べたことが報じられています。
実際にアクセスされているかを調べた調査も出ています。Ahrefsが2026年5月に自社の解析ツールを使う137,210ドメインを対象に行った調査では、28%がllms.txtを公開していた一方、そのうち97%は5月中に1件のリクエストも受けていませんでした。SE Rankingが同じ2026年5月に約30万ドメインを対象に行った調査では、設置率は10.13%で、AIの回答での引用頻度との相関は確認されなかったと報告されています。
設置率が28%と10.13%で大きく違うのは、調査対象の集め方が異なるためです。前者は特定の解析ツールの利用企業に偏っており、Web全体の平均とは読めません。それでも両方に共通しているのは、設置率がどうであれ、AIの回答での引用との結びつきは今のところ見えていないという点です。
AI開発各社は自社サイトにllms.txtを置いているのか
読んでいると表明していない一方で、AI開発各社の多くは自社の開発者向けサイトにllms.txtを置いています。本記事の作成にあたり、2026年8月17日に各URLへ実際にアクセスして確認した結果は次のとおりです。
| 提供元 | 確認したURL | 2026年8月17日時点 |
|---|---|---|
| Anthropic | docs.anthropic.com/llms.txt | 公開されている |
| OpenAI | developers.openai.com/llms.txt | 公開されている |
| Perplexity | docs.perplexity.ai/llms.txt | 公開されている |
| developers.google.com/llms.txt、cloud.google.com/llms.txt | 見つからない |
この結果は、各社のAIがWeb上のllms.txtを読んで回答に使っている証拠にはなりません。開発者向けの技術資料を、AIを使う開発者に読ませやすくするために置いている、と考えるほうが自然です。llms.txtが最初に広まったのも技術文書のサイトでした。
裏を返せば、技術文書のように「AIに読ませて作業させる資料」を大量に公開しているサイトと、地域の工務店や税理士事務所のサイトとでは、llms.txtの使いどころが違うということでもあります。
それでもサイトモが自社サイトにllms.txtを置いている理由
サイトモは自社サイトにllms.txtとllms-full.txtを公開していますが、それは検索順位やAIの引用が増えることを見込んだものではありません。理由は3つあります。
- 作成と維持のコストがほとんどかからないこと。効果が不確実でも、負担が小さければ持っておく価値はあります。
- AI側の対応方針は変わり得ること。2026年8月時点で読まれていないことは、来年も読まれないことを意味しません。
- サイトモ自身が「AIに選ばれるホームページ」の実装例を公開している立場であること。お客様に説明する内容を、まず自社サイトで動く形にしています。
実装で判断したのは、ファイルの中身を手書きしないことでした。サイトモのllms.txtは、料金プランの金額とページ数、公開中のコラム記事の一覧を、サイト本体の表示に使っているのと同じデータから生成しています。料金を改定すればllms.txtの記載も同時に変わります。
放置されたllms.txtは、置かないほうがまし
llms.txtで最も起こりやすい失敗は、設置したあと更新されず、古い料金や閉鎖したページが残ることです。要約ファイルの目的はAIに正確に理解してもらうことなので、中身が古ければ目的と逆のことをしていることになります。
手書きで運用するなら、料金改定やページ追加のたびに直す担当者をあらかじめ決めておく必要があります。それが決められないなら、サイトモは置かないほうがよいと考えています。
llms.txtを設置すべきか判断する基準
2026年8月時点では、「AI検索での引用を増やしたい」という目的で設置するなら優先度は低く、「AIに自社の事実を取り違えられたくない」という目的なら意味があります。この2つを混ぜて考えると判断を誤ります。
| 状況 | llms.txtの扱い | 理由 |
|---|---|---|
| サイトの中身がまだ薄い、robots.txtでAIを拒否したままになっている | 後回しでよい | 読ませる中身と入口が整っていなければ、要約だけ置いても意味がありません |
| 料金や対応エリアなど、間違って伝わると困る事実がある | 置く価値がある | 正しい情報を一か所にまとめておけば、AIが取りに来たときに参照できます |
| マニュアルや仕様書などをAIに読ませる前提で公開している | 置く価値が高い | llms.txtが実際に使われているのは、この用途が中心です |
| 更新を担当する人を決められない | 置かない | 古い情報が残るほうが、置かないより不利になります |
順番としては、AIクローラーを拒否していないかをrobots.txtで確認し、ページ本文と構造化データを整えるほうが先です。llms.txtはそのあとに検討する項目だと、サイトモは考えています。
llms.txtを設置するときに気をつけること
llms.txtは、robots.txtやページ本文の代わりにはなりません。この誤解が、設置しても何も起きない一番の原因です。
- robots.txtでAIのアクセスを断っている状態では、llms.txtを置いてもAIは取りに来ません。まず入口の設定を確認します。
- 要約ファイルは、ページ本文の薄さを補うものではありません。llms.txtに書いた内容の裏付けが本文側にあることが前提です。
- 料金、対応エリア、資格や許可番号といった事実は、サイト本体の表記と食い違わないようにします。食い違いは不信の原因になります。
- 誰がいつ更新するかを決めます。年に一度も見直さない運用なら、設置しない判断も妥当です。
- 設置による変化を数字で確かめるのは、現時点では困難です。効果測定を前提とした投資対象としては考えないほうが安全です。
WordPressを使っている場合は、Yoast SEOなど一部のプラグインがllms.txtの自動生成に対応していると仕様書に記載があります。手書きで管理するより、サイトの情報から自動で作られる仕組みを選ぶほうが、更新漏れを防げます。
まとめ
llms.txtは、2026年8月10日にv2が公開され、仕様としては前進しました。一方で、Googleは検索に影響しないと明言しており、設置サイトの大半は実際にはアクセスされていません。2026年8月時点では、順位や引用を目的に急いで設置する理由は見当たりません。
それでも設置する意味があるのは、事実を正確に伝えたい情報があり、かつ更新を続けられる場合です。作るコストが小さいからこそ、続けられるかどうかが判断の分かれ目になります。
まず確認していただきたいのは、llms.txtを作ることではなく、robots.txtでAIのアクセスを断っていないか、そしてページ本文に事実が書かれているかです。この2つが整っていない状態でllms.txtだけ置いても、状況は変わりません。
よくある質問
llms.txtを置くとGoogleの検索順位は下がりますか
下がりません。Googleは2026年6月の公式ドキュメントで、llms.txtを作って維持してもGoogle検索での表示や順位を損なうことも助けることもなく、Google検索はそのファイルを無視すると説明しています。
v1で作ったllms.txtは作り直す必要がありますか
作り直す必要はありません。v2でも、必ず書かなければならないのは冒頭のサイト名だけで、既存の書き方が無効になるわけではありません。見直すとすれば、優先度の低い情報を「Optional」の見出しの下に移すことと、記載内容が現在のサイトと合っているかの確認です。
llms-full.txtも一緒に置くべきですか
必須ではありません。llms-full.txtは仕様書に定義されたファイルではなく、実務で広まった慣習です。サイトモは自社サイトで両方を公開していますが、ページ数が少ないサイトであれば、llms.txtだけでも情報は足ります。
ホームページ制作会社に頼まないと設置できませんか
技術的には、テキストファイルを1つ作ってサイトの入口に置くだけなので、サーバーにファイルを置ける環境があれば自社でも設置できます。判断が必要になるのは、何を書くかと、誰が更新し続けるかの部分です。
参考情報
- llms-txt「The /llms.txt file, v2」
- AnswerDotAI「llms-txt(GitHubリポジトリ)」
- Ahrefs「We Analyzed 137K Sites: 97% of llms.txt Files Never Get Read」
- SE Ranking「LLMs.txt: Why Brands Rely On It and Why It Doesn’t Work」
- Search Engine Journal「Google Confirms LLMs.txt Has No Current Implementation」
- Search Engine Journal「LLMs.txt Shows No Clear Effect On AI Citations, Based On 300k Domains」
- サイトモ「llms.txt(自社サイトでの実装)」
