この記事の要点

  • 生成AIは用語の意味を、まずページに表示されている定義文から読み取ります。構造化データはその内容を機械的に補強する役割にとどまります。
  • Googleは、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加要件や特別な構造化データは必要ないと明記しています(2026年8月時点)。
  • 定義文は「〇〇とは、対象・目的・特徴を一文で述べたものです」という形にそろえ、見出しの直後に置きます。
  • 用語集ページを新しく作るかどうかは、その用語について実際に問い合わせや説明の手間が発生しているかで判断します。
  • サイトモは自社のサービス説明ページで、表示している定義文とまったく同じ内容を構造化データにも入れる形をとっています。

用語の定義ページとは何か

用語の定義ページとは、自社の事業で使う専門用語について、その意味・対象・使う場面を短い文でまとめて掲載したページのことです。一覧形式でまとめた用語集ページと、用語ごとに独立させた解説ページの両方が含まれます。

中小企業のサイトでは、この定義が意外なほど書かれていません。建設業の「常用」、税理士事務所の「記帳代行」、士業の「顧問契約」のように、業界内では説明不要でも、外の人には範囲がわからない言葉が本文中でそのまま使われている状態です。

読者が人間だけなら、前後の文脈から意味を推測してくれることもあります。ところが生成AIが答えを組み立てるときは、その言葉が自社サイト上でどう定義されているかを手がかりにします。定義がどこにも書かれていなければ、AIは一般的な辞書的説明や、他社サイトの記述で補います。結果として、自社の実際のサービス範囲とずれた説明が出てくることがあります。

AIは用語の意味をどこから読み取るのか

結論として、最初に読まれるのはページに表示されている本文です。理由は、Googleが構造化データについて公開している説明のなかで、表示されていない情報を構造化データだけに書くことを明確に否定しているためです。

「ユーザーの閲覧しているページ画面に表示されない情報に関する構造化データは、その情報が正確であっても追加しないでください。」(Google 検索セントラル「Google 検索における構造化データのマークアップの概要」2026年8月時点)

さらにGoogleは、AIによる概要やAIモードに関する説明のなかで、そこに表示されるための追加の要件はなく、特別な構造化データを追加する必要もないと述べています。つまり、定義を構造化データに書き足すことが単独の対策になるわけではありません。

ではマークアップに意味がないのかというと、サイトモはそうは考えていません。表示している定義文と同じ内容を構造化データにも入れておけば、どの語がそのページの主題なのか、その定義文はどこからどこまでなのかが、機械にとって曖昧でなくなります。効果を保証するものではありませんが、少なくとも取り違えの余地は減ります。

AIが拾いやすい定義文の書き方

定義文でいちばん効くのは、文の形をそろえることです。「〇〇とは、△△を対象に、□□するための◇◇です。」という一文に収め、そのあとに補足や例外を続けます。

実務でつまずきやすいのは、定義のつもりで書いた文が、実は宣伝文になっている場合です。「〇〇は当社の強みです」「〇〇なら安心です」という文には、その語の意味が含まれていません。次の表は、同じ用語について書き方だけを変えた例です。

書き方 例文 AIから見た問題
宣伝型 記帳代行は当社の得意分野です。 意味・対象・範囲が一つも書かれていない。
言い換え型 記帳代行とは、記帳を代行するサービスです。 語をそのまま繰り返しており、実質的な情報が増えていない。
定義型 記帳代行とは、事業者が受け取った領収書や通帳の内容を、会計帳簿に入力する作業を外部が引き受けるサービスです。 対象・作業内容・担い手が一文で示されている。

あわせて、定義文の置き場所も決めておきます。その用語を扱う見出しの直後に置き、間に前置きの段落をはさまないこと。ここを守るだけで、見出しと定義文の対応関係がはっきりします。

用語集ページを作るべきか、既存ページに書くべきか

先に判断基準を述べると、その用語について実際に問い合わせや説明の手間が発生しているなら独立したページ、そうでなければ既存ページ内で定義するのが順序だとサイトモは考えています。用語集ページを先に量産する進め方は勧めません。

判断のポイント 独立したページ向き 既存ページ内で足りる
問い合わせ その言葉の意味を毎回聞かれる ほとんど聞かれない
書ける分量 定義に加えて手順・条件・費用感まで書ける 定義の二、三文で説明しきれる
他社の記述 他社の説明と自社の範囲が明確に違う 業界共通の一般語で差がない
更新のしやすさ 制度や料金の変更を追って直せる 更新する担当者を決められない

用語ごとに独立したページを作る場合、一ページあたりの中身が薄くならないかを先に確かめます。定義しか書けない語を無理に単独ページにすると、似た内容のページが並ぶだけの状態になりがちです。二、三文で終わる語は、サービス紹介ページやよくある質問の中で定義するほうが自然に読めます。

サイトモが自社サイトで行っている実装

サイトモは、自社のAIO(AI検索最適化)のサービス説明ページで、そのページの主題である用語を構造化データの主対象として明示しています。定義文は新しく書き起こしたものではなく、ページ冒頭に表示している文をそのまま使っています。

{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "WebPage",
  "url": "https://site-more.com/aio/",
  "inLanguage": "ja",
  "mainEntity": {
    "@type": "DefinedTerm",
    "name": "AIO(AI最適化)",
    "description": "AIが返す「答え」に選ばれ続けるための対策。(以下、ページ本文と同一の文)"
  }
}

ここで使っている型(英語表記はDefinedTerm)は、用語とその定義を示すために用意されたものです。前述のとおり、この型はGoogleのリッチリザルト対象ではありません。表示上の見返りを期待して入れているのではなく、ページの主題を一語で確定させておく目的で入れています。

あわせてサイトモでは、AI向けの案内ファイル(llms.txtとllms-full.txt)を公開し、AI関連のクローラーをrobots.txtで個別に明示して許可しています。ただし2026年8月時点のllms.txtには、用語集としてまとまった定義の一覧は置いていません。定義の本体はあくまで各ページの本文側に持たせる形です。

定義をそろえると実務で何が変わるか

効果として期待できるのは、AI向けの改善というより、説明コストの削減です。定義文が一箇所に確定していれば、提案書、見積書、問い合わせ返信で使う説明を同じ文言にそろえられます。担当者ごとに説明の範囲が違う、という状態が減ります。

読者側の利点もあります。中小企業のサイトを見にくる人は、その業界の言葉に慣れていないことが多いものです。用語の意味がその場で確認できれば、問い合わせ前に「これは自社が頼みたいことと同じか」を自分で判断できます。

そして生成AIに対しては、自社サイト内に一次的な定義が存在する状態を作れます。定義が自社サイトにあるかどうかで、AIの回答が必ず変わると断定できる材料はありません。ただ、自社の言葉づかいを説明した文がどこにもないより、あるほうが誤った補完を招きにくいとサイトモは考えています。

先に知っておきたい注意点

定義を整える作業には、やり方を間違えると逆に働く部分があります。

本文と構造化データを食い違わせないこと。ページに表示している定義文を後から書き換えたのに、構造化データ側の文を直し忘れると、二つの異なる定義が同じページに存在する状態になります。片方だけを更新できる仕組みは作らないほうが安全です。

もう一つは、用語数を増やすこと自体を目的にしてしまう進め方です。自社の事業と関係が薄い一般語まで解説ページを作ると、更新されないページが増えます。制度や料金にひもづく語は特に、書いた時点の内容が古くなります。書くなら「〇年〇月時点」と時点を添え、見直す時期も決めておきます。

最後に、同じ用語をサイト内の複数ページで別の言い方で定義していないかを確認します。サービス紹介ページとよくある質問で範囲がずれている、という食い違いは珍しくありません。定義の正本を一ページに決め、他のページはそこへ内部リンクで寄せる形が扱いやすいはずです。

まとめ

専門用語の定義をAIに伝える作業は、新しい技術の導入ではなく、すでに書いてある文章の言い方を決め直す作業に近いものです。次の順序で確認することをおすすめします。

  1. 問い合わせで意味を聞かれる用語を三つから五つ書き出す。
  2. その用語が自社サイト内で定義されているか、本文を検索して確かめる。
  3. 定義されていない語について、対象・目的・範囲を含む一文を作り、該当する見出しの直後に置く。
  4. 同じ語が複数ページで違う説明になっていないかを見比べ、正本のページを一つ決める。
  5. そのうえで、表示している定義文と同じ内容を構造化データにも入れるかを検討する。

構造化データは最後の工程です。表示されている文が整っていない段階でマークアップだけを足しても、Googleが公開している方針とかみ合いません。

よくある質問

用語集ページを作れば、AIの回答に自社名が出やすくなりますか。

出やすくなると断定できる公開情報はありません。Googleは、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加要件はないと説明しています(2026年8月時点)。用語集ページは、自社の言葉づかいを自社サイト上に記録しておく手段として位置づけるのが妥当だと考えられます。

定義文はどのくらいの長さが適切ですか。

一文で意味が完結する長さを目安にします。対象・目的・特徴の三つが入って、読み下せる範囲であれば十分です。条件や例外は、定義文のあとに別の段落として続けます。定義文自体に条件を詰め込むと、引用されたときに意味が伝わりにくくなります。

用語を定義する構造化データを入れても検索結果の見た目は変わりませんか。

変わりません。Googleが公開しているリッチリザルトの機能一覧に、用語や用語集を表示する機能は含まれていません(2026年8月時点)。表示上の変化ではなく、ページの主題を機械に対して明示する目的で使うものです。

すでに他社サイトで同じ用語が解説されている場合、自社でも書く意味はありますか。

自社のサービス範囲が他社と違うなら意味があります。同じ語でも、含まれる作業や費用の扱いは会社によって異なります。他社の解説をなぞるだけの説明にせず、自社が何を引き受け、何を引き受けないのかまで書くことが判断材料になります。

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