この記事の要点
- ChatGPTやPerplexityなどの生成AIがサイトを読むとき、参照しているのはサーバーが最初に返すHTMLだけです。VercelとMERJが2024年12月に公表した共同調査では、主要なAIクローラーはいずれもJavaScriptを実行していないと報告されています。
- JavaScriptで後から差し込まれる文章は、ブラウザの画面には出ていてもAIには届いていない場合があります。該当しやすいのは、タブで切り替える説明、外部サービスから読み込む口コミ、「もっと見る」で追加表示される実績一覧です。
- 自社サイトが該当するかどうかは、ブラウザでページのソースを表示し、確認したい文章がその中にあるかを探すだけで判断できます。有料の計測ツールは必要ありません。
- 読まれていなかった場合も、JavaScriptをやめる必要はありません。AIに読ませたい文章だけを、最初のHTMLに含まれる形に作り直せば足ります。
- Googleの生成AI機能は例外的にJavaScriptを処理できます。そのためGoogleの検索結果に問題なく出ていることは、ChatGPTなど他のAIに読まれている根拠にはなりません。
AIは自社サイトの文章をどこまで読んでいるのか
生成AIが読み取っているのは、サーバーがそのURLに対して最初に返すHTMLの範囲です。HTMLとは、ページの文章や見出しがそのまま書き込まれている、サイトの中身そのものにあたるファイルです。ブラウザはこのHTMLを受け取り、続けてJavaScriptを動かして、画面の見た目を仕上げます。
ここでいうAIクローラーとは、ChatGPTやPerplexityなどの生成AIサービスが、回答に使う情報を集めるために自動でサイトを巡回するプログラムのことです。ブラウザに近いものを想像しがちですが、実際の動きはもっと単純で、HTMLを受け取ったらそこで終わります。
JavaScriptは、ページを開いたあとに動く追加のプログラムです。タブの切り替え、スライダー、外部サービスから取り寄せる口コミなど、動きのある部分の多くはこれで作られています。JavaScriptが動いて初めて画面に出る文章は、最初のHTMLには存在しないため、AIから見れば「そのページに書かれていない文章」と同じ扱いになります。
つまり、人が見ている画面とAIが読んでいる中身は、同じページでも一致しないことがあります。ここが、社内で「ちゃんと書いてあるのにAIが答えてくれない」という食い違いが起きる原因のひとつです。
Googleでは表示されるのに、なぜAIには届かないのか
GoogleのクローラーはJavaScriptを動かして仕上がりの画面まで確認しますが、他のAIクローラーはそれを行わないためです。Google検索セントラルの「JavaScript SEO の基本を理解する」では、Googleがクロール、レンダリング、インデックス登録という3つの段階でページを処理すると説明されています。レンダリングという段階で、JavaScriptを実行して最終的な内容を確認しているわけです。
一方、VercelとMERJが2024年12月17日に公表した共同調査では、現時点で主要なAIクローラーはいずれもJavaScriptを実行していないと報告されています。対象にはOpenAI、Anthropic、Meta、Perplexityのクローラーが含まれ、JavaScriptファイルを受け取ることはあっても実行はしていないとされています。GoogleのGeminiだけは、Googleのクロール基盤を使っているため例外的にJavaScriptを処理できると同調査は説明しています。
この非対称が実務では厄介です。Google検索では正しく表示され、順位も付いている。それでも同じページがChatGPTからは空白同然に見えている、ということが起こり得ます。Googleの検索結果に出ていることは、ChatGPTやPerplexityにそのページの文章が読まれている証拠にはなりません。
どんな文章がAIに読まれていないのか
読まれない可能性が高いのは、ページを開いたあとに外部から取り寄せたり、操作に応じて組み立てたりしている文章です。中小企業のサイトで実際に見かけるパターンを、読まれやすさの目安とあわせて整理します。
| サイト上の作り | AIに読まれるか | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 本文、サービス説明、料金表などを普通に書いたページ | 読まれる | 制作時に文章としてページに書き込んでいる |
| クリックで開閉するよくある質問 | 多くは読まれる | 閉じた状態でも答えの文章はHTMLに入っていることが多い |
| タブで切り替えるサービス説明や料金プラン | 作り方によって分かれる | 切り替えた瞬間に読み込みが走るものは読まれにくい |
| 「もっと見る」やスクロールで追加表示される実績一覧 | 追加分は読まれないことがある | 最初に表示されている件数だけがHTMLにある場合がある |
| 口コミ、予約、地図などの外部サービス埋め込み | 読まれない | 他社のサービスから取り寄せて表示している |
| ページ全体をJavaScriptで組み立てる方式のサイト | ほぼ読まれない | ソースを表示しても本文が見当たらない |
表のとおり、同じ「タブ」でも作り方によって結果が変わります。見た目だけでは判断できないため、次のセクションの手順で実際に確認してください。特に、事業の要になる説明や料金、選ばれる理由といった、AIに答えてほしい情報ほど優先して確かめる価値があります。
自社サイトがAIに読まれているか確認する方法
確認は、ブラウザでページのソースを表示し、その中に目的の文章が含まれているかを探すだけです。専門知識も有料ツールも要りません。パソコンのブラウザで、次の手順を試してください。
- 確認したいページをパソコンのブラウザで開きます。
- ページの何もない部分を右クリックし、「ページのソースを表示」を選びます。文字だらけの画面が別のタブで開きます。
- その画面でキーボードのCtrlキー(Macはcommandキー)とFキーを同時に押し、検索欄を出します。
- AIに読ませたい文章の一部を、10文字程度そのまま入力して検索します。「初期費用は」のような、そのページ特有の言い回しを選んでください。
- 見つかればAIにも読まれています。見つからなければ、その文章はJavaScriptで後から表示されている可能性が高い状態です。
ここで注意したいのは、右クリックの「検証」ではなく「ページのソースを表示」を使う点です。検証の画面はブラウザがJavaScriptを動かしたあとの状態を映すため、AIに読まれていない文章まで表示されてしまいます。この違いを知らないまま確認して、問題なしと判断してしまうことがあります。
調べる対象は、トップページだけで済ませないでください。サービス紹介、料金、よくある質問、実績のように、問い合わせの判断材料になるページを1枚ずつ確認するほうが実態をつかめます。
AIに読まれていなかったときの直し方
直し方は、サイトを作り直すことではなく、読ませたい文章を最初のHTMLに入れることです。方法は主に3つあり、どれを選ぶかは、その文章がどこから来ているかで決まります。
- サーバー側であらかじめ文章入りのHTMLを用意する。ページ全体がJavaScriptで組み立てられている場合の本命です。制作会社には「本文をサーバー側でHTMLに出力してほしい」と伝えると意図が通ります。
- 文章はHTMLに直接書き、見せ方の切り替えだけをJavaScriptに任せる。タブや開閉式の表示に向いています。最初から全文をHTMLに書いておき、表示と非表示の切り替えだけを担当させる作りにします。
- 外部から取り寄せている内容は、要点を自社の文章として書き足す。口コミや予約カレンダーなど、埋め込みを外せないものに使います。埋め込みはそのまま残し、その近くに自社で書いた説明文を置きます。
優先順位を付けるなら、事業内容、料金の考え方、対応範囲、よくある質問の答えなど、問い合わせ前に確認されやすい情報からです。装飾的な演出や、動きを付けている部分まで作り直す必要はありません。
すべてのページを一度に直そうとすると費用も期間も膨らみます。まず確認手順で問題が見つかったページだけを対象にし、影響の大きい順に直すほうが現実的です。
サイトモのサイトではどう作っているか
サイトモの自社サイトは、公開前にすべてのページのHTMLをあらかじめ組み立てて配信する作りにしています。記事や料金の情報は管理画面側で管理していますが、公開時点で文章はHTMLに書き出されているため、訪問者のブラウザでJavaScriptが動くかどうかに関係なく、本文はそのままHTMLの中にあります。
あわせて、AIに読ませたい情報が本文の外に逃げないようにもしています。サービス内容、料金の考え方、よくある質問といった判断材料は、画像の中の文字や外部サービスからの取り寄せではなく、ページ内の文章として書いています。文章として書いてある情報は、確認手順のソース表示でもそのまま見つかります。
読ませたい情報ほど、素朴な形で置く。
サイトモは、AI向けの特別な仕掛けを増やすよりも、まず本文がHTMLに入っている状態を作るほうが効果的だと考えています。凝った見せ方は、その土台ができてからでも遅くありません。
なお、Google検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」でも、AIによる概要やAIモードのための特別な最適化は必要なく、検索の技術的要件を満たすことが前提だと説明されています。読まれる状態を整えることは、特殊な対策ではなく基本の確認です。
判断する前に知っておきたい注意点
この記事の内容には、いくつか適用範囲があります。誤解したまま判断すると、不要な作り直しにつながります。
- Googleの生成AI機能は例外です。GeminiはGoogleのクロール基盤を使うためJavaScriptを処理できます。したがって「AI全般に読まれていない」と一括りにはできません。
- 調査の時点を確認してください。根拠としたVercelとMERJの調査は2024年12月に公表されたものです。2026年8月時点で、各社がJavaScriptを実行するようになったという公式発表は確認できていません。ただし今後変わる可能性は残ります。
- JavaScriptそのものが問題なのではありません。問い合わせフォームの入力チェックや、見やすさのための動きは、AIに読ませたい文章と無関係であれば従来どおりで構いません。
- 読まれる状態にしても、引用されるとは限りません。HTMLに文章があることは、AIが参照できる前提条件であって、参照される保証ではありません。
- そもそもAIクローラーの巡回を拒否している場合は別の話です。サイトの設定でAIクローラーを断っていれば、HTMLの中身に関係なく読まれません。作りを直す前に、その設定も確認してください。
まとめ
生成AIが読んでいるのは、サーバーが最初に返すHTMLです。ブラウザで見えている画面と一致するとは限らず、JavaScriptで後から出てくる文章はAIに届いていないことがあります。VercelとMERJの2024年12月の調査では、主要なAIクローラーはJavaScriptを実行していないと報告されています。
まずやることは、AIに答えてほしいページを選び、ページのソースを表示して、その文章が含まれているかを探すことです。含まれていれば追加の対応は不要です。含まれていなければ、その文章だけをHTMLに入る形に直します。
サイト全体を作り直す判断は、その確認を終えてからで構いません。問題があるページと、問題がないページを切り分けることが、費用をかけずに始められる最初の一歩です。
よくある質問
WordPressで作っていれば問題ないのでしょうか
多くの場合は本文がHTMLに入りますが、一律で安全とは言えません。WordPressは通常、サーバー側でHTMLを組み立てて配信します。ただし、タブ切り替えや実績の追加読み込み、外部サービスの埋め込みをプラグインで実現している部分は、JavaScriptで表示されていることがあります。使っているテーマやプラグインによって変わるため、ページのソースを表示して確かめるのが確実です。
クリックで開くよくある質問は、AIに読まれますか
閉じた状態でも答えの文章がHTMLに書かれていれば読まれます。開閉の動きだけをJavaScriptが担当している作りであれば、文章そのものは最初から存在しています。反対に、クリックした瞬間に答えを取り寄せる作りだと読まれません。判断は、閉じた状態のままソースを表示し、答えの文言を検索すれば付きます。
制作会社には何と伝えればよいですか
「このページの本文が、JavaScriptを実行しない状態のHTMLに含まれているか確認してほしい」と伝えてください。含まれていない場合は「サーバー側でHTMLに出力する形に変更できるか」を相談します。AIやAIOという言葉を使わずに済むぶん、話が具体的になります。
直せば生成AIに引用されるようになりますか
引用されるかどうかは保証できません。HTMLに文章が入っている状態は、AIがそのページを読める前提条件にあたります。内容の分かりやすさや、他のサイトからの評価など、参照されるかどうかを左右する要素は他にもあります。読まれない状態を解消することは、その前段の整備だと捉えてください。
