この記事の要点
- 会社概要ページは、社名・所在地・代表者・事業内容を1か所にまとめた、生成AIや検索エンジンにとって最も参照しやすい会社の身元証明にあたるページです。
- 生成AIが会社を取り違える原因は、情報が足りないことよりも、サイト内やSNS、地図サービスの間で社名や住所の表記が食い違っていることにあります。
- Google検索セントラルは、会社情報の構造化データを「ホームページまたは組織の説明を掲載した単一のページ(例: 企業情報ページ)に配置することをおすすめします」と説明しており、すべてのページに書く必要はないと明記しています。
- 登記上の商号は国税庁の法人番号公表サイトで検索できます。屋号やサービス名と法人名を書き分けるときの基準になります。
- サイトモは会社情報を1つのファイルで一元管理し、全ページの構造化データをそこから生成しています。ページごとに社名や住所を書き写す運用はしていません。
会社概要ページとは、AIにとって何のページか
会社概要ページとは、社名・所在地・電話番号・設立・代表者・事業内容など、会社を特定するための基本情報をまとめたページです。多くのサイトで「会社概要」「会社案内」「私たちについて」という名前で置かれています。
人が読むときは、このページは信用の確認に使われます。問い合わせる前に、どこにある会社か、いつからやっているのかを見る。役割はそれだけです。ところが機械から見ると、このページの役割はもう少し重くなります。サイト全体のどこに書かれた情報が正しいのかを判定するときの、基準点になるからです。
構造化データ(ページの内容を機械が読み取れる形で書き添えるデータ)の共通語彙であるschema.orgには、会社概要ページを表すAboutPageという型が用意されています。会社情報を表す型はOrganizationです。つまり「このページは会社そのものを説明したページである」と機械に伝える手段が、標準として存在します。
裏を返すと、会社概要ページが薄いサイトは、機械にとって基準点のないサイトです。トップページのキャッチコピーやフッターの小さな文字から会社を推測するしかなくなります。
AIが自社の情報を取り違えるのは、どこで起きるか
取り違えのほとんどは、情報が存在しないからではなく、同じ項目について複数の異なる表記が同時に存在していることから起きます。中小企業のサイトで起きやすいのは、次のような食い違いです。
- トップページは屋号だけ、会社概要ページは「株式会社〜」、フッターは英語表記になっている。
- 本社移転や事務所の増床のあとで、会社概要は直したがフッターと問い合わせページに旧住所が残っている。
- 電話番号が、代表番号・部署直通・地図サービス登録番号の3種類あり、どれが代表か読み取れない。
- 会社案内をPDFで置いているが、中身がサイト本文より数年古い。
- 地図サービスの登録名に地域名や業種名を足しているため、サイト上の名称と一致しない。
人が読めば、どれも同じ会社だと分かります。表記が違っても文脈で補える。機械はそれを、別の会社かもしれない情報として扱う余地が残ります。どちらの表記を採用するかを決められないまま、片方だけを拾うこともあります。
ここで正直に書いておきたいのは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIが、社名の不一致を内部でどう処理しているかは各社とも公開していないという点です。2026年8月時点で「表記をそろえればAIの回答に必ず反映される」と言える公式情報はありません。サイトモは、公開されていない仕組みを推測して手を打つより、どの読み手にとっても迷いようがない状態にそろえておくほうが確実だと考えています。
会社概要ページに載せる項目と、書き方の基準
まず結論として、載せる項目は多くありません。会社を特定できる事実だけで足ります。項目ごとに、書き方とつまずきやすい点を整理します。
| 項目 | 書き方の基準 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 会社名 | 登記されている商号をそのまま書く。屋号やサービス名は別行にする | 「株式会社」の位置や、カッコ書きの省略で表記が分かれる |
| 所在地 | 郵便番号から番地まで通しで書く。ビル名がある場合は省略しない | 移転後に他ページの旧住所が残る |
| 電話番号 | 代表番号を1つに決め、サイト全体で同じ番号を使う | ページごとに部署の直通番号が混ざる |
| 設立 | 年月日まで書く。創業と設立が違う場合は両方を分けて書く | 創業年を設立年として書いてしまう |
| 代表者 | 役職と氏名を書く。可能なら経歴や保有資格のページにつなぐ | 氏名だけで役職がない |
| 事業内容 | 実際に受注している業務を具体的な言葉で並べる | 「総合的なソリューションの提供」のように中身が読み取れない |
| 対応エリア | 拠点と、実際に対応できる範囲を分けて書く | 全国対応と書きながら拠点が不明 |
| 外部プロフィール | 公式のSNSや掲載ページのURLを並べる | すでに使っていないアカウントが残る |
士業や建設業のサイトでは、これに登録番号や許可番号が加わります。税理士登録番号、建設業許可番号のように、第三者が確認できる番号は会社概要ページに置く価値が高い情報です。番号は表記ゆれが起きにくく、他の情報源と突き合わせやすいためです。
正式な商号とサービス名は、どう書き分けるか
書き分けの基準は単純です。登記されている商号を法人名として1か所に明記し、対外的に使っているサービス名や屋号は、それとは別の項目として並べます。どちらか片方に統一する必要はありません。
サイトモ自身がこの形です。サービス名は「サイトモ」、運営している法人は「株式会社エヌティ・ウェブデザイン」。会社概要ページでは、会社名と運営サービスを別の行に分けて記載しています。構造化データでも、日常的に使う名称と登記上の商号を別の項目として書き分けています。
自社の商号の正確な表記に確信が持てないときは、国税庁の法人番号公表サイトで確認できます。このサイトでは法人番号の指定を受けた法人について「商号又は名称」「本店又は主たる事務所の所在地」「法人番号」が公表されており、社名や所在地から検索できます。社内の書類やロゴと表記が違っていた、というのは珍しい話ではありません。
迷ったら、看板と名刺を見る
Googleは、掲載するビジネス情報のガイドラインで「実際のビジネスで一貫して使用し、認知されている(看板やビジネスレターなどで使用している)ブランド名を使用します。」と説明しています。地図サービス向けの基準ですが、判断の物差しとしてはサイトにもそのまま使えます。実際に使っていない正式名称を無理に前面に出す必要はありません。
Googleが公式に説明していること
会社情報の扱いについて、Googleが文書で明言している点が3つあります。会社概要ページの設計はこの3つで大体決まります。
1つ目は置き場所です。Google検索セントラルの組織の構造化データに関するドキュメントは、この情報を「ホームページまたは組織の説明を掲載した単一のページ(例: 企業情報ページ)に配置することをおすすめします。サイトのすべてのページに含める必要はありません」と説明しています。会社情報の構造化データを全ページに重複して書くことは、Googleの推奨ではありません。
2つ目は、書いてある内容と見える内容を一致させることです。Googleの構造化データに関するガイドラインは、ページの読者に表示されないコンテンツをマークアップしないよう求めています。会社概要ページに構造化データだけを入れて、本文には何も書かないやり方は、この方針に反します。
3つ目が、先に触れた名称の一貫性です。実際に使われて認知されている名称を使う、という基準が明示されています。
この3つはいずれも検索向けの文書ですが、生成AIに読ませる観点でも矛盾しません。見える形で書き、1か所にまとめ、名称をそろえる。追加で必要になる特別な作業はほとんどありません。
サイトモの会社概要ページでやっていること
サイトモは自社サイトを実装の見本として運用しているため、会社概要ページの作り方も公開情報から確認できる形にしています。実際にやっているのは次の4点です。
- 会社情報を1つのファイルで一元管理しています。社名・法人名・住所・電話番号・代表者・設立日・対応エリアをまとめて持ち、全ページに出力する構造化データはそこから生成します。ページごとに手で書き写さないので、住所を変えれば全ページが同時に変わります。
- 会社概要ページには、そのページが会社を説明したページであることを示すAboutPageの構造化データを出力し、会社情報そのものは再宣言していません。共通で出力している会社情報を識別子で参照するだけにとどめ、同じ会社が二重に宣言される状態を避けています。
- 会社概要ページの本文には、同じ内容を表として掲載しています。構造化データに書いてある項目は、必ずページ上で読める状態にしてあります。
- 更新日をGitのコミット日付から自動で生成しています。会社情報を直した日が、そのままページの更新日として反映されます。
会社情報の構造化データは、最小構成なら次のような形です。項目を増やすより、書いた項目がページ上の表記と完全に一致していることのほうが重要だと考えています。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Organization",
"name": "サイトモ",
"legalName": "株式会社エヌティ・ウェブデザイン",
"url": "https://site-more.com/",
"telephone": "096-227-6611",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"postalCode": "860-0833",
"addressRegion": "熊本県",
"addressLocality": "熊本市中央区",
"streetAddress": "平成3-15-5"
}
}
あわせて、生成AI向けの要約ファイルであるllms.txtにも会社概要を短くまとめて記載しています。会社名・所在地・対応エリアを、サイト本文と同じ表記で書いています。
会社概要ページでやりがちな間違い
会社概要ページで起きやすい問題を、影響の大きい順に挙げます。どれも直す作業自体は小さいものです。
- 会社概要の表を画像で作っている。読み手が人だけなら成立しますが、機械には社名も住所も伝わりません。文字として書き直すのが先です。
- 構造化データにだけ会社情報を書いて、本文には書いていない。Googleのガイドラインが避けるよう求めている状態です。
- 同じ会社情報の構造化データを全ページに重複して書いている。Googleが「すべてのページに含める必要はありません」と説明している範囲を超えています。
- 旧社名や旧住所が、フッターや問い合わせページ、PDFの会社案内に残っている。移転や社名変更のときは、会社概要ページ以外を洗い出すほうが手間がかかります。
- 設立年や事業規模を、見栄えのために実際より大きく書く。事実と違う情報は、他の公開情報と突き合わせたときに矛盾として残ります。
もう1つ、見落とされやすいのが会社概要ページが検索から除外されている設定です。制作時にテストページとして作ったまま除外設定が残っている場合があります。会社概要ページのURLを検索エンジンで直接検索して出てこないなら、まずそこを確認してください。
まとめ
会社概要ページの整備は、新しい技術を導入する作業ではありません。すでに社内にある事実を、どの読み手からも同じに見える形に置き直す作業です。
手元で確認するなら、順番は3つです。第一に、自社サイトのトップページ・会社概要ページ・フッター・問い合わせページを開いて、社名と住所と電話番号の表記が完全に一致しているかを目で見比べる。第二に、登記上の商号を法人番号公表サイトで確認し、会社概要ページの表記と突き合わせる。第三に、地図サービスやSNSに登録している名称が、サイト上の表記と同じかどうかを確かめる。
この3つでずれが見つかったら、修正の順番は会社概要ページからです。基準点を先に固めてから、他のページをそこに合わせていく。構造化データの追加は、その後で構いません。
よくある質問
会社概要ページは1枚あれば十分ですか
会社の基本情報については1枚で足ります。Google検索セントラルは、組織の情報をホームページまたは企業情報ページのような単一のページに配置することを推奨しており、すべてのページに含める必要はないと説明しています。ただし拠点が複数ある場合は、拠点ごとのページを別に用意するほうが所在地が正確に伝わります。
構造化データは自分で書く必要がありますか
本文の表記をそろえることが先で、構造化データは後からで構いません。会社概要ページに正しい情報が文字で書かれていない状態で構造化データだけを足しても、内容が一致しないため意味が薄くなります。WordPressを使っている場合は、テーマやプラグインが会社情報の構造化データを出力していることもあるため、二重に出していないかを先に確認してください。
社名や住所が変わったときは、どこを直せばよいですか
会社概要ページだけでなく、フッター、問い合わせページ、PDFの会社案内、地図サービスやSNSの登録情報まで含めて直す必要があります。サイトモは会社情報を1つのファイルで一元管理して、サイト内の表示をまとめて更新できる形にしています。同じ考え方で、変更対象の一覧を先に作っておくと漏れが減ります。
表記をそろえると、AIの回答に自社が出てくるようになりますか
出てくるようになると保証できるものではありません。生成AI各社は、社名の照合や引用元の選び方を公開していないためです。2026年8月時点で言えるのは、表記の食い違いという判断を迷わせる要素を減らせること、そして人が読んだときの信用にも同時に効くこと、この2点にとどまります。
